では、前回の記事、「会話のコツ その1 (受け入れ)」に続いて、今度は2番目に重要なコツ「共感」ついて考えていきましょう。
インディアンの名言で、
「すべての人に尊敬をはらい、ただのひとりにも媚びるべからず」
という言葉があります。
「共感する」とよくいいますが、これは決して相手に媚びることではありません。
相手を認め、尊重することを意味するのです。
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自分以外の世界をイメージする
相手は自分とはちがう世界で生きています。
ですから、まったく同じように物事を見たり感じたりするのは不可能なこと。
しかし、私たち人間には動物と決定的にちがうことがあります。
それはイメージできること。
たとえ相手の世界でも、自分が今まで経験したことを材料にしてイメージすることができるのです。
たとえば、あなたの友達がスキーで足を骨折してしまいました・・
あなたはどうやってそんな彼の気持ちに共感してあげるでしょうか?
松葉杖って慣れないと難しいんだな、、よくつまずくんだ
確かに歩道ってさ、けっこー凸凹してる所があるからね
うんうん!そうなんだよ!
じつは松山くんは骨折した経験はありません。
しかし、ひどい捻挫をして松葉杖を使った経験があり、その時に味わった苦労を思い出したのでした。
このように、相手の世界であっても、自分の経験を材料にすればその世界をイメージしてあげることができます。
人は否定を恐れる
コミュ障の人がコミュニケーションで一番恐れているのが相手に否定されることではないでしょうか?
もちろん、これはコミュ障の人に限ってのことではありません。
人間は誰でも他人から否定されることを恐れます。
と、いうことは、その逆・・
肯定してもらえば安心感をもつということ。
しかし、会話の中で相手があきらかに間違っていることを言っているため、正しいことを教える必要がある場面ってよくありますよね。
そのとき、してしまいがちなのが以下の対応です。
たとえば、堀内さんが同僚から仕事の愚痴を聞かされました・・
○○課長は私にだけ厳しい態度をとるんだよ。もうイヤ!今度は無視してやる!
えー!ダメだよ!そんなことしたら!
ほっといてよ!もう無理!もう限界!!
同僚はますます怒りに火がついてしまいました。
確かに同僚の「上司を無視する」という考えは間違っており、正してあげる必要があるでしょう。
しかし、それをそのままストレートにぶつけてしまっては相手は否定されたと感じ、ますます嫌悪してしまうことになるのです。
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共感は同情とはちがう
人は同情されることを嫌います。
なぜなら、同情とは、自分の世界にいたまま、相手の世界を眺めて「気の毒に・・」と思う感情だからです。
しかし、共感はちがいます。
共感とは、自分の世界から移動して、相手の世界をイメージしてあげること。
同情は誰でも簡単にできます。
ですが、共感は「相手を大切に思う気持ち」があるからこそ、できることであり、コミュニケーションにはとても重要なことなのです。
私、人から「かわいそうにね~」とか言われるがイヤで・・だから相手にも同情しないようにしてました
うん。わかるよ。でもね、相手がどんなに間違ったことを言ってもまずはその気持ちを汲んであげよう
まず気持ちを汲んであげる?
うさきち先生の言う「まず気持ちを汲んであげる」にはどうしたら良いでしょうか?
いったん肯定してあげよう
堀内さんは課がちがうので同僚が文句をいっている○○課長の厳しさを経験したことがありません。
しかし、友達の骨折を自分の経験した捻挫でイメージした松山くんのように別のことにイメージできないでしょうか?
(そういえば学生の頃、部活の先輩が、やたら私だけ厳しく目の敵にしてきたことがあったっけ・・)
堀内さんは過去の似たような自分の体験を思い出しました。
すると、グッと胸がつまる感じも蘇りました。
目の前で厳しい上司に腹を立てている同僚の気持ちが実感できます・・・
だよね・・・、なんで自分だけが?って思うよね・・・
うん・・・本当なんで私だけなんだろう・・一生懸命やっているのに・・
うん、でもさ・・やっぱり無視するのは良くないよ・・ますます悪化するよ
うん・・・そうだよね
これが、相手の気持ちを汲んであげるということなのです。
そして・・・
これが、「相手の心に寄り添い、尊重する」ということなのです。
このように、どんなに間違ったことを相手が言っていたとしても、まずは肯定して気持ちを汲んであげましょう。
「共感」はお互いの心をつなぐパイプ
自分とはちがう世界に生きている相手を共感してあげるのは、このように少し努力がいるものです。
ですが、この共感こそが・・
ただの知人を友人にレベルアップする大切なコツといえるでしょう。
それはお互いの心をつなぐパイプであり、より良いコミュニケーションとはいかにこのパイプを太くしていくか?
なのです。
ぜひ、「受け入れ」から、さらに一歩踏み込んで「共感」を実行してみてください。
共感とは
相手と自分の心をつなぐパイプ